『田園の詩』NO.114 「使えない名刺」 (2000.5.30)


 法事の席などで、親族間の続き柄の説明を受けることが時折あります。その場に居る
人達の関係は何とか理解できるのですが、先代・先々代の続き柄や、分家先や結婚先
まで説明されると、もうお手上げです。「親の親の、その弟の子供の…」などと丁寧に
説明されても、私の頭の中の回路は動きません。

 どうもこの種の話が私は苦手です。反対に、どちらかといえば女性は得意な人が多い
ようで、近所の奥さん達は立ち話で続き柄の話をよくしています。

 相当過去にさかのぼったり、横にたどったりしており、よくも空で理解し合えるものだ
と感心します。実は、女房は私よりもダメらしく、「いとこ」までが話についていける限界
だそうです。

 続き柄と同様に、初対面の人の顔と名前を覚えるのも得意な方ではありません。次に
店で会った時など、にこやかに挨拶も交わし話をしても、最後まで名前を思い出せなかっ
たことは何度もあります。

 たまに気を利かせていった名前が違ったこともしばしば。努力はしているつもりですが、
失礼ばかり、生来の不得手はどうにもなりません。

 先日も、ある市役所を訪ねた時、秘書課長のAさんを紹介されたので、「初めまして」
と名刺を差し出したら、「以前、名刺交換しました」といわれたのでビックリ。

 ただ、「部署が変わったので」と新たに名刺は頂きました。家に帰りファイルを調べて
みたら、Aさんの「学校管理課長」時代の名刺が出てきたので、早速入れ替えました。

 その折、ファイルに貯まった名刺を見て、役に立たなくなった名刺が数多くあることに
気が付きました。特に定期異動を伴う行政や会社やマスコミの方にそれが多いようです。


      
    楽々堂の栞や初髪筆のパンフレットが、いままでは白黒コピーの簡単なものだった
     ので、スタッフ(女房・子供達)の意見とパソコンの腕を借りて、カラーの立派なものに
     (自分ではそう思っている)一新しました。 平成21年11月頃より使用しています。



 一般的に、名刺には名前と肩書と住所が記されています。私などは住所といえば自宅
のことですが、先の方々は仕事先の住所なので、数年経てば住所が変更します。そう
なると名刺を使っての連絡が取れません。

 自宅の住所が書かれてあれば、もっと親しく、末長くお付き合いできるのに…と思い
ます。ご検討下さい。                 (住職・筆工)

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